平成17年10月1日、遠野市と宮守村の1市1村が合併し、人口約3万2千人、面積825.62平方キロメートルの新しい「遠野市」が誕生しました。
岩手県を縦断する北上高地の中南部に位置する遠野市は、内陸と沿岸を結ぶ交通、産業の要所にあたり、標高1,917mの早池峰山に標高300〜400mの高原群が周囲を取り囲み、市域の中央部にある遠野盆地に市街地を形成しています。県内でも寒冷地帯に属し寒暖の差が激しく、四季の推移が画然とし、厳冬期には零下17度を記録することもあります。
冷涼な気候と豊かな自然環境を生かした農林業は、新市の基幹産業です。米を中心に、野菜、ホップや葉たばこなどの工芸作物、畜産等が複合的に経営されており、特に遠野地域はホップの生産日本一、宮守地域は東北一のわさびの里として知られています。「人づくり」「土づくり」に力点を置いた農林業振興を図っており、宮守地域では集落一農場の取り組みが進んでいます。
一方、豊かな自然と、食や農林業体験、民話・曲り家などの歴史遺産の魅力を生かしたグリーン・ツーリズムなどは、住民主体のまちづくり活動と一体となり、もうひとつの特性となっています。体験・滞在型の観光が一層定着し、年間を通じ交流が活性化するよう、里山、渓流などの自然や、民俗学者柳田国男の「遠野物語」に描かれたカッパ淵、童話作家宮澤賢治の「銀河鉄道の夜」のモチーフになったといわれる「めがね橋」などの観光資源、昔話の語り部、暮らしの知恵や技を伝える「まぶりっと衆(守り人)」などの人的資源の総合的なネットワーク化に努めています。
新市では「2つの個性が融合し、躍動する、新しい遠野郷の創造」を基本理念として、自然と共生しながら、人々が健やかに輝き、ふるさとの伝統や文化を育み、住民一人ひとりの誇りと熱意と活力によってみんなで築く「永遠の日本のふるさと」を目指しています。
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