大分県の南東部、宮崎県境に位置し、南部から西部にかけては祖母傾国定公園の一角をなす。東は豊後水道を隔てて四国南西部と面し、200qにも及ぶ美しいリアス式の海岸は、日豊海岸国定公園に指定されている。面積は903.38km2と、市としては九州で最も広く、その87.3%を林野が占めている。山間部地域は、傾山を筆頭に、急峻な山々が屈曲しながら広い地域で連なり、豊かな森林資源を有している。海岸部地域は、リアス式海岸特有の入り組んだ海岸線や大小の島々が創りだす美しい景観に富み、黒潮の荒波にもまれた豊富な水産資源に恵まれている。また、日本最北限といわれる天然の珊瑚礁もあり、フィッシングやダイビングスポットとしても有名である。本市の中央部を流れる番匠川は、幹川流路延長38km、流域面積464km2で九州有数の清流と豊かな水量を誇り、四季を通じて住民に豊かな恵みをもたらすと同時に、地域のシンボル的な存在ともなっている。また、多くの支流を有している。
気候は、南海型気候に属しており、年平均気温は16℃前後と比較的温暖で、夏に降雨量が多く、冬には晴天が多いのが特徴である。豊後水道の影響を受ける海岸部地域は特に暖かく、その多くが無霜地帯となっている。
市内には、旧石器時代や縄文・弥生時代の遺跡が点在し、平安時代から佐伯地方の荘園支配者として武士化した佐伯氏一族は、以後400年にわたりこの地を治めた。そして慶長6年(1601)、日田から毛利高政が転封されて2千石を領し、城山に鶴谷城を築いて城下町を開いたのが現在の佐伯市の礎である。昭和15年には防備隊が開隊し軍都として発展。軍の意向もあり、昭和16年、隣接する3か村を吸収合併して市制を施行して佐伯市となった。
戦後は、港の利を活かして臨海部に造船、パルプ、合板などの企業が林立。豊かな森林・水産資源等をもつ南海部郡8か町村と相まって県南の中核として栄え、オイルショック以後に基幹産業が厳しい時代を迎えたが、平成17年3月3日、佐伯市及び南海部郡5町3村が新設合併し、新しく「佐伯市」が誕生。待望の高速道路の建設も進んでおり、新たな発展が期待され、「豊かな自然の田舎で人々が連携し、潤いと活力に満ちたふれあい都市」を実現するために、取り組んでいる。
市章
佐伯市の頭文字「S」を図案化したもので、緑豊かな山々と清流、豊饒の豊後水道にあって、市民が連携し、歴史や文化を大切にしながら未来へ向かっていくことを表しています。
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